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プログレおすすめ:Downes Braide Association「Suburban Ghosts」(2015年イギリス)

公開日: : 最終更新日:2016/01/02 2015年, イギリス, シンセポップ ,


Downes Braide Association -「Suburban Ghosts」

第201回目おすすめアルバムは、イギリスのミュージシャン:Downes Braide Associationが2015年11月6日に発表したアルバム「Suburban Ghosts」をご紹介します。
Downes Braide Association「Suburban Ghosts」

Downes Braide Associationは、Chris Braide(ボーカル、ベース、キーボード、ピアノ、プログラミング)とGeoffrey Downes(キーボード、ピアノ、プログラミング)のユニットによるプロジェクトです。

その2人がはじめて出会ったのは、The Bugglesが2010年にリユニオン・ツアーでロンドンへ戻った時と言われています。そして、2012年に、1stアルバム「Pictures Of You」でデビューを飾り、昨年2014年には、その1stアルバム収録の楽曲「Sky Sailor」や「Road To Ruin」のリミックスなどを含み、当アルバムの11曲目をハイライトに配したEP「Dreaming Of England」の発表も記憶に新しいことと思います。

2006年から2009年までTrevor Hornが率いるThe Trevor Horn Band(The Producers)で活動をともにしていたChris Braideと、そのTrevor HornとThe Bugglesで活動をともにしたGeoffery Downesと云う間接的な繋がりだけでなく、これまでの両者の音楽的歩みを見てくれば、1stアルバムも含め、その懐かしきニューウェーブ系のシンセサイザーやプログラミングを駆使した流麗でメロディックなサウンドに頷けずにはいられません。

Chris Braideは、1970年代から1990年代のイギリスにおいて、ニューウェイブの音楽シーンでポップセンス溢れるSqueezeの再結成期最終年にメンバーに名を連ね、現在では、 Britney Spears、Beyoncé、Jennifer Hudson、Christina Aguilera、Lana Del Reyら何度もグラミー賞にノミネートするほどのクオリティの高いボーカルで魅せる歌い手の楽曲のコンポンザーやプロデュースも手掛けていますが、いっぽうで、Geoffery Downesは、イギリスのニューウェイブからプログレッシブ・ロックシーンのヒットチャートを賑わしたThe Buggles、Asia、Yesのメンバーに名を連ねています。

当アルバム「Suburban Ghosts」は、サバービア(Suburbia)と呼ばれる小さな町での孤独が綴られています。物語は、イングランド北西部のチェシャー地域の地区で、Chris BraideとGeoffery Downesの幼少時代へ立ち戻っています。新しい冒険ではなく、過去への郷愁ともとらえながらも、いっぽうで構築されたサウンドには、1stアルバム以上に躍動さを伴い、

Chris BraideとGeoffery Downesの2人が音楽シーンで培ってきた上質のメロディックさが聴けるアルバムなのです。

楽曲について

ミステリアスなシンセの音色で幕を上げる冒頭曲「Machinery of Fate」は、ヴァースでのミステリアスさからサビでの哀愁さまで唄メロが流麗にもメロディックな心地良い楽曲です。ヴァースには、ニューウェーブのシーンにて、たとえば、同国イギリスのバンド:New Orderの楽曲「Behind Closed Doors」のメロディラインを想起させるなど、1980年代のNew OrderやJoy Divisionの陰鬱さも垣間見せますが、Geoffery Downesが盟友:John Wettonと活動をともにしたAiconや2008年に再結成した現Asiaでのメロディックさがサビ部やブレイクに溢れており、

冒頭部からニューウェーブのポップさやメロディックさが好きな方を虜にしてしまう音が詰まっている。

ただ、唄メロのメロディラインだけでなく、Chris BraideとGeoffery Downesによるピアノのシークエンスやユニークなベースラインや、4分30秒前後からのハーモニウムなど、そのアンサンブルのきめ細やかさに聴き入ってしまいます。

2「Suburban Ghosts – Parts 1 & 2」と3「Suburban Ghosts – Part 3」は文字通り3部作の楽曲です。個人的過ぎますが、Geoffery Downesが関わる楽曲であれば、John Wettonのボーカルで聴きたいという気持ちをもってしまいますが、「Parts 1」の伸びやかにもサウンドに溶け込んだボーカリゼーションを魅せるChris Braideの声質を聴けば、その気持ちを拭い去ってくれます。ギター・ソロをメインとした「Parts 2」に続く、3「Suburban Ghosts – Part 3」では、2008年以降のAsiaファンであれば、そのコード進行やフックにはニンマリしてしまうかもしれませんね。当楽曲では、変調を交えた唄メロのメロディラインを巧みに唄うChris Braideとシンセサイザーをメインとしたメロディックなアンサンブルに、Chris BraideとGeoffery Downesが追求する音楽性にニューウェーブのエッセンスが溢れ、しっかりと世界観を感じずにいられなんですよね。

そして、Chris BraideとGeoffery Downesの2人のメロディセンスが結実したかのように、切実な想いが溢れるかのように唄うChris Braideのボーカリゼーションも印象的な4「Vanity」以降、特に、アルバムの楽曲後半(8「One of the Few」、9「Time Goes Fast」、10「Live Twice」、11「Dreaming of England」、12「Finale」)では、どちらかといえば音楽キャリアが長くAsiaのコンポンザーを担うGeoffery Downesの比重が高い「Asiaのサウンド・メイキングやメロディのフック」もたぶんに感じさせてくれるものの、たとえば、Britney Spearsの楽曲「Perfume」を手掛けたChris Braideのメロディセンスやサウンド・メイキングも存分に聴かせてくれます。

個人的に、ふとAsiaの楽曲をも想起してしまいますが、AsiaにはJohn Wettonがボーカルであって欲しいと思うと同時に、1982年発表の1stアルバム「Asia」でのテクニカルさやスキルフルさなどのプログレッシブ・ロックのエッセンスや空間処理も豊かなパノラマ・サウンドの残像を亡霊のようにいつまでも恋しく追いかけてしまう時があります。

当アルバムは、Chris BraideとGeoffery Downesの音楽遍歴が物語るように、ニューウェーブのシーンを彩ったシンセーをメインとしたアンサンブルやサウンド・メイキングが溢れるアルバムとして、いっぽうで、過去現在のチャートを賑わせてきた2人の哀愁さや仄かな朗らかさなどがあるメロディセンスが活きた素晴らしいアルバムと思います。

[収録曲]

1. Machinery of Fate
2. Suburban Ghosts – Parts 1 & 2
3. Suburban Ghosts – Part 3
4. Vanity
5. Number One
6. Interlude
7. North Sea
8. One of the Few
9. Time Goes Fast
10. Live Twice
11. Dreaming of England
12. Finale

哀愁のある唄メロのメロディライン、流麗でメロディックなサウンド、Chris BraideとGeoffery Downesの音楽遍歴に共通するニューウェーブ(エレクトロ・ポップ系、シンセポップ系、ドリーム・ポップ系、ダークウェーブ系)などが、好きな方におすすめです。

また、唄メロのメロディラインでいえば、Geoffery Downesが所属するAsiaにて、2008年以降に発表したアルバム(「Pheonix」、「Omega」、「XXX」)でのメロディックなミドルテンポやスローバラードが好きな方におすすめです。と同時に、ニューウェーブをモダンに落とし込んだプログラミングでいえば、Chris Braideが手掛けたBritney Spearsの楽曲「Perfume」などを好きな方におすすめです。

「Suburban Ghosts」のおすすめ曲

1曲目は11曲目の「Dreaming of England」
共鳴し合うコーラスと、サビでのユニークなスキャットやブレイクでの語り調も含めた唄メロのメロディラインなど、フィーメイルらしさが溢れ、女性ボーカルで唄わせたら・・・と考えずにいられないメロディックさとボーカリゼーションが随所に素敵だからです。

2曲目は冒頭曲1の「Machinery of Fate」
1980年代のイギリスを中心としたニューウェーブの音楽シーンにて、エレクトロ・ポップ系やシンセポップ系のA-ha、Eurythmics、The Human League、Howard Jones、Frankie Goes To Hollywoodなどをはじめとし、キャッチ―なメロディと1980年代ロマンチック・ムーブメント一端を彷彿させる、浮遊さたっぷりなドリーム・ポップ系のCocteau Twins、Orchestral Manoeuvres in the Dark、ダークウェーブ系のjoy Devisionやその延長上にあるNew Orderなどが脳裏をよぎってしまうからです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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