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プログレおすすめ:Tale Of Diffusion「Adventures Of Mandorius(The Bird)」(2009年ポーランド)

公開日: : 最終更新日:2016/03/25 2000年代, ネオ・プログレ, ポーランド


Tale Of Diffusion -「Adventures Of Mandorius(The Bird)」

第266回目おすすめアルバムは、ポーランドのネオ・プログレ系のロック・バンド:Tale Of Diffusionが2009年に発表した1stアルバム「Adventures Of Mandorius(The Bird)」をご紹介します。
Tale Of Diffusion「Adventures Of Mandorius(The Bird)」
Tale Of Diffusionは、既に別のバンドで活動していたBartosz Florczak(ギター)、Tomasz Pawlikowski(ベース)、Radoslaw Malinowski(ドラム)の3人が、2002年に、Michal Szmidt(ギター)とともに、ポーランドの第2の工業都市:Lodz近郊を拠点として4人で結成したバンドです。

結成当初は、ポーランドのラジオ局で2曲のデモ楽曲を演奏したり、いくつかのギグを重ねていき、2006年にはデビューに向けてデモ・アルバム「demo」を制作し、いくつかのレーベル会社へ送るなど、活動をしていました。

デモ・アルバム「demo」では、アトモスフェリックな浮遊感を効かせた2台のギター・プレイやリズム・セクション、および、エレクトロを利用したループ・サウンドなど、既に当アルバム「Adventures Of Mandorius(The Bird)」の原型ともいうべきサウンド・メイキングやアンサンブルを聴かせています。加えて、ジャズ、フュージュン、アンビエントなどを独自に吸収したアンサンブルには、イギリスの5大プログレバンドでいえばKing CrismonやPink Floyd、他にもPat Methenyの影響を強く感じさせてくれる内容でした。

当アルバム「Adventures Of Mandorius(The Bird)」は、Pawel Marciniak(キーボード、ギター)とMichal Marciniak(キーボード、ギター)やトランペット奏者:Szymon Żmudzinskiをゲストに迎え制作され、デモ・アルバム「demo」の収録楽曲「MelodyMan」も収録されています。一聴し、同国ポーランドでいえば、Riversideのメンバー:Mariusz Dudaサイド・プロジェクト:Lunatic Soul、さらに、After…、Beleiveなど、ネオ・プログレ系の著名なバンド:Marillionなども想起させる東欧ヨーロッパ特有の哀愁溢れるメロディラインが聴けますが、

各楽器が奏でるフレーズの積み重ねにスペーシ―なサウンドが構築されプログレッシブな展開が聴けるインストルメンタルな楽曲が中心のアルバムです。

楽曲について

冒頭曲1「Sound of Magic」は、2台のキーボードによるリフをバックに、ギターがクリーン・トーンで憂いを帯びたフレーズを一定のシークエンスで弾き幕を上げる楽曲です。小刻みなシンバルとともに、トランペットがメランコリックな旋律をテーマにアンサンブルに加わっていきます。1分50秒前後からはエレクトロなリズムセクションがアンサンブルにメリハリをもたせ躍動していきます。当バンドの特徴の1つであるアトモスフェリックさを仄かに漂わせスペースを効かせたリズムセクションが堪能出来るパートです。そして、4分15秒前後からはディスト―ションとフライジングされたギターのソロが感情を揺さぶるようにスペースを響き渡らさせ、5分45秒前後にはよりタイトにリズム・セクションが重なり、ギターのソロはクロージングを迎えます。

なんともいえない東欧ヨーロッパ特有のセンチメンタリズムさにただただ聴き入ってしまいます。

2「Acting Like a Death」は、いわゆるDicipline期のKing Crimsonのギターによるアンサンブルが冒頭から展開し、1分前後のサウンド・エフェクトを皮切りに、そのアンサンブルはよりディスト―ションが効いたアンサンブルへと変貌します。そして、突如として、2分前後からはアコースティック・ギターのストロークをアンサンブルに、クリーン・トーンによるギターの旋律がアトモスフェリックさを漂わせます。3分前後からはノイジーなギターのフィードバック音が響き渡り、サイケデリック/スペース系へと展開を魅せるかと思いきや、4分15秒前後に、突如として1分前後からのディスト―ションが効いたギターのアンサンブルへと戻り、変拍子が巧みに盛り込まれ執拗なリフでクロージングを迎えます。束の間の穏やかさを不穏さで掻き消してしまうかのように、一聴では予測出来ないプログレッシブな楽曲です。

3「City of Swallowed Bells」は、シンセサイザーの旋律をメインに、サウンド・エフェクトやノイジーなギターのフレーズが交錯し合う冒頭から、2分前後に、やはり、Dicipline期のKing Crimsonのギターを想起させるミニマルなギターのフレーズをアンサンブルに、フュージュン系のギター・ソロがメインのテーマを弾きます。4分前後からは、スティール・ギターによるゆったりとしたフレーズに変拍子のリズム・セクションのアンサンブルが残響さを醸し出し、5分50秒前後からは、シンセサイザーがエフェクティブに旋律を拡げ、交響楽が次第にデクレッシェンドへ迎うかのようにしクロージングを迎えます。まるで、Pink FloydやCamelがシンセサイザーをメインにスペーシ―なサウンドを展開しているかのようなサウンド・メイキングが楽曲の展開の大半を占めている印象です。

4「Melody Man」は、冒頭部から2分20秒前後までは、1「Sound of Magic」や3「City of Swallowed Bells」以上に、ミニマルなギターのフレーズを活かした複雑な展開を続け、2分20秒前後からは、キーボードの柔らかな音色によるリフに、クリーン・トーンのギターによるアルペジオ、そして、トランペットがテーマを奏で、穏やかなパートへと展開します。4分30秒前後からは、時折、ディスト―ション・ギターがアンサンブルを切り裂くようにも刺々しいリフを一閃し挟みつつ、YesのSteve Howeを想起させるテクニカルなギターのフレーズをディレイを効かせたクリーン・トーンのソロが聴けます。5分30秒前後からは、ミニマルなギターのフレーズに、ヴィブラフォンやエレクトリック・ギターが音階を上下に行き交い、途中から歯切れ良いギターのカッティングが重なっていきます。盛り上がりをみせたところで、短めのボーカルパートを皮切りに、ブルージ―なギター・ソロ、フュージュン系のギター・ソロとタイトなリズム・セクション、ドライブが効いたギター・ソロ、ミニマルなギター・ソロなど、様々なタイプのギター・ソロが奏でられます。そして、9分30秒前後からは、エレクトリック・ピアノのリフに、メトロノームかのようにギターが一定のシークエンスでフレーズを重ね、トランペットがジャージーな旋律を繰り広げます。途中でドラムがリズムセクションに加われば、ギターはフレーズを不規則に変えながら展開し、トランペットは荒れぶるい、呼応するかのようにギターもソロで応酬していきます。そのまま長尺のインプロゼーションへと繋がり楽曲はクロージングを迎えます。

デモアルバムからの再演も納得の聴き応えある約17分にも及ぶ大曲ですね。

5「Mandorius」は、やはりギターが一定のシークエンスでミニマルなフレーズを繰り広げ、そこにシンセサイザーのフレーズが巧みに重なり合う冒頭部のアンサンブルが他楽曲と異なり印象です。そのギターとシンセサイザーのアンサンブルも曲が進行するにつれて巧みに変化をもたらしながらスペーシ―な展開しつつも、1分40秒前後からは、ギターがロングトーンを効かせた旋律が聴けます。4分25秒前後は変拍子によるテクニカルでスキルフルなギターによるアンサンブルにも、リード・ギターは続けて縦横無尽に弾き続け、突如、ギターがリフを重ね、6「New Life」へと繋がります・・・。

アコースティック・ギターの高速ストロークとキーボードによるスペーシ―さ溢れるアンサンブルに、当アルバムで数少ないボーカルのパートがメインとなる約1分30秒ほどの6「New Life」を挟み、最終曲7「Rebird」では、当アルバムの楽曲では最も明るいタッチのサウンド・メイキングやアンサンブルであり、ネオ・プログレ系のミドルテンポの約10分にも及ぶ楽曲です。

力強いリズムセクションに、アコースティック・ギターのストロークとピアノの旋律がゆったりと波打つように進行する冒頭部のパート、2分20秒前後のエレガントなピアノの短めのパートを挟み、3分5秒前後からのピアノの低音を盛り込んだスタッカートなフレーズとホンキートンク調のピアノによる短めのパートから、ギターやホンキートンク・ピアノ、ピアノがポップな感触のアンサンブルへと展開します。5分55秒前後からは、冒頭部よりも抑え気味にスイング感を聴かせたアンサンブルに、ベースとギターがゆったりとしたフレーズを繰り返し、途中、オーケストラも加わって、ちょっぴりノスタルジーな印象を感じてしまいます。7分55秒前後からは、再度、力強いアンサンブルへと戻り、アルバムのクロージングに相応しくギター・ソロが高らかに奏でられ、クロージングします。

東欧ヨーロッパのロマンチシズムを感じさせる冒頭曲と明朗さが活きたネオ・プログレ系の最終曲で挟み込み、ミニマルなギターやシンセサイザーのフレーズを積み重ね、リズムセクションとによるスペーシ―なアンサンブウを構築するは、アンビエントのディープ世界観を2曲目から5曲目まで展開すると云う・・・アルバム全篇を最初から最後まで聴きとおすことで、その世界観を十分に感じて欲しいと思うアルバムです。

2016年3月現在にて、当アルバム1枚のみしか世に出ていませんが・・・、2枚目のアルバムが出て欲しいと待ちわびてしまいます。

[収録曲]

1. Sound of Magic
2. Acting Like a Death
3. City of Swallowed Bells
4. Melody Man
5. Mandorius
6. New Life
7. Rebird

ジャズ、フュージュン、アンビエントなエッセンスが好きな方、そのエッセンスが盛り込まれた1980年代のポーランドで一世風靡したネオ・プログレ系のバンドが好きな方におすすめです。

アルバム全篇を通じすると、1つの音楽のエッセンスでは括れないと云う点で、冒頭曲1、6と最終曲7は、同国ポーランドであれば、Lunatic Soul、After..、Beleiveを聴く方におすすめです。また、アルバム中盤の楽曲(2、3、4、5)は、1980年代前半のDicipline期のKing Crimsonのミニマルなギターのプレイに、Pink Floydに通じるスペーシ―な感覚も好きな方におすすめです。

アルバム「Adventures Of Mandorius(The Bird)」のおすすめ曲

1曲目は、4「Melody Man」
ミニマルなエッセンスを豊富なアイデアで展開しています。特に、そのミニマルさから解き放たれて、トランペットからギターへとソロは移行し、クロージングを迎える後半部のパートは圧巻です。

2曲目は、最終曲7「Rebird」
冒頭曲1「Sound of Magic」が東欧ヨーロッパのロマンチシズムを感じる旋律で甲乙つけがたいのですが、ポップさあるネオ・プログレ系に、よりプログレッシブな展開を魅せる当楽曲を推します。クロージング後、そのままアルバムを冒頭曲1「Sound of Magic」から聴きなおしても、不思議とスムーズに聴き入ってしまう不思議な気持ちにもなります。もしも、逆に冒頭曲1「Sound of Magic」を聴いてから当楽曲7「Rebird」を聴いては異なる感覚となるかもしれません。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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