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Luna Seaとプログレッシブ・ロックと

公開日: : 最終更新日:2015/12/06 徒然なるプログレ


22分56秒のシングル楽曲「THE ONE -crash to create-」を聴きながら

Luna Seaが2012年に発表したシングル楽曲「THE ONE -crash to create-」を聴いてみました。
いつ聴いてもLuna Seaらしき「独特な壮大さ」や「艶」を感じずにいられません。

RYUICHI、Sugizo、J、INORAN、真矢の5人のうち、誰がイニシアチブを握り原曲の大半を書いたのか、長尺の楽曲だからといってプログレッシブ・ロックな楽曲なのかと言われれば、メンバー其々のユニークなクリエイティブ性が散りばめられ、組曲のように聴けてしまうんです。

楽曲には、「BLUE TRANSPARENCY 限りなく 透明に 近い ブルー」、「TRUE BLUE」、「END OF SORROW」などに代表される憂いを帯びた疾走感や、「AURORA」、「SHINE」、「white out」などに代表される爽やかさや朗らかさなどのエッセンスは含まれていません。

芯となるメロディラインに、RYUICHIの明瞭なボーカリゼーション、Sugizoのロングトーンや弦、INORANのクリーントーン、そして、Jと真也が織りなすリズムセクションに絡み合い発生するケミストリーが、個人的に前述の「独特な壮大さ」や「艶」と解釈してしまうんです。

違うと分かっていても「プログレ」を感じてしまう。

いっぽうで、Luna Seaと同様なアプローチをしていたであろうバンドの楽曲では、たとえば、GLAYの「SAY YOUR DREAM」は唄モノとしてコンパイルされながらも、転調の妙に特徴を持ち、前半部と後半部で異なる楽曲をメドレー形式に繋げている印象を感じたし、また、X JAPANの「ART OF LIFE」はピアノの楽章のようにパートが分かれ、協奏曲のような様相の印象を感じました。

逆に、Luna Seaの「THE ONE -crash to create-」はメンバーが持ち寄った楽曲のモチーフを、終始ミドルテンポで奏でながら、プログレッシブ・ロック特有の明らかなリズムチェンジはなく、いくつものエッセンスが重ね合わせるようなイメージを持ったものです。

個人的には、これまでに発表された楽曲でも、比較的、長尺な楽曲(「VIRGIN MARY」、「MOTHER」、「FOREVER&EVER」など)で感じ得た「プログレ」のエッセンスの路線をおしすすめながらも、所謂「プログレ」につきまとう難解さに繋がらぬよう、クリエイティブがもたされているのではないかとは思ったんです。

そう感じながらも「22分56秒」の音世界に「プログレ」の断片を求めてしまうんです。

Luna Seaの全ての楽曲を原曲作曲者で分けてみる

そこで、2013年12月11日に発売されたアルバム「A WILL」までの全ての楽曲を、出来る限り原曲作曲者であろうメンバー別に分けてみて、「プログレ」の断片を探ってみることにしました。発表された楽曲の大半は、Sugizo、J、INORANが占めていることが下の表を見て頂くと分かるかと思います。

Sugizo J INORAN
FATE TIME IS DEAD SANDY TIME
BRANCH ROAD SHADE BLUE TRANSPARENCY ~限りなく 透明に 近い ブルー~
CHESS THE SLAIN Image
MOON PRECIOUS… VAMPIRE’S TALK
CALL FOR LOVE MECHANICAL DANCE Rejuvenescence
Dejavu IMITATION RECALL
WALL IN MIND LASTLY
SEARCH FOR REASON WISH LAMENTABLE
SYMPTOM JESUS FACE TO FACE
BELIEVE IN MY DREAM (WITH SHIVER) FAKE
ANUBIS STEAL MOTHER
Providence STAY LUV U
LOVELESS ROSIER SELVES
CIVILIZE IN FUTURE VELVET
GENESIS OF MIND ~夢の彼方へ~ TRUE BLUE BREATHE
AURORA G. UP TO YOU
WITH LOVE HURT gravity
1999 RA-SE-N 4:00AM
END OF SORROW FOREVER&EVER white out
DESIRE Time Has Come Claustrophobia
IN SILENCE STORM RAIN
NO PAIN SHINE TWICE
I for You Unlikelihood この世界の果てで
MILLENNIUM ANOTHER WITH
Love Me BROKEN be gone
Be Awake Sweetest Coma Again be in agony
KISS a Vision Thoughts
VIRGIN MARY TONIGHT MARIA
FEEL Crazy About You absorb
Ray SLAVE
My Lover FALLOUT
LOVE SONG INTO THE SUN
Rouge The End of the Dream
Anthem of Light
Metamorphosis Glowing
銀ノ月 Grace

他にも、真矢によるMILLENNIUM、inside you、ECHOと、RYUICHIによるUNTIL THE DAY I DIE、Lost Worldや、メンバー全員で作成したLooperなどの楽曲があります。

Luna Seaにプログレを感じる

「独特な壮大さ」という意味では、比較的長尺の楽曲で引き合いに出した「VIRGIN MARY」はSugizo、「MOTHER」はINORAN、「FOREVER&EVER」はJのように、それぞれのメンバーに長尺なアプローチがあります。

「艶」という意味では、個人的にRYUICHIの「UNTIL THE DAY I DIE」、INORANの「RECALL」などのミドルテンポやスローテンポでしっとりとした楽曲に感覚をもちます。

変拍子という観点では、Jの「RA-SE-N」、INORANの「Be Gone」、Sugizoの「Rouge」がぱっと脳裏に浮かび、さらに、プログレを明確に意識したという意味では、楽曲の中間部にスペーシな味付けが冴えてクールな印象のある「Metamorphosis」が当てはまるかもしれません。アルバム「A WILL」発売時のインタビューに於いて、「ハードコアやスピードメタルの体を成したプログレ」と原曲作曲者のSugizoは発言しています。

また、大半の原曲作曲者である3人(たとえば、Sugizoにはニューウェーヴのエッセンス、Jにはパンプロックのエッセンス、INORANにはポストロックのエッセンス)に、どことこなく個性を感じるプログレッシブなエッセンスを感じずにいられません。ただ、そのエッセンスには明確なボーダーラインはなく、それぞれのメンバーが持つスキルフルさの引き出しが多いのではないかとも思うんです。

結論からいうと、個々のメンバーが持つ音楽背景や、メンバーそれぞれの終わりなき探求によるアグレッシブなアプローチなどが交錯し合うことで、筆者はLuna Seaに「プログレ」を感じてしまうのかもしれません。

アグレッシブさは「プログレ」にとって必要なエッセンスと思います。
これからもLuna Seaに素晴らしい楽曲を聴いてみたいです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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