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プログレおすすめ:Emerson, Lake & Palmer「1st Album」(1970年イギリス)

公開日: : 最終更新日:2015/12/26 1970年代, ELP(5大プログレ), イギリス , , ,


Emerson, Lake & Palmer -「Emerson, Lake & Palmer」

第19回目おすすめアルバムは、イギリスのプログレッシブ・ロックバンド:Emerson, Lake & Palmerが1970年に発表した1st同名アルバム「Emerson, Lake & Palmer」をご紹介します。
Emerson, Lake & Palmer「1st Album」
5大プログレバンドの1つ:Emerson, Lake & Palmerによる記念すべきデビュー・アルバムです!

Emerson, Lake & Palmerは、1970年に、元King CrimsonのGreg Lake(ボーカル、ベース)、元NiceのKeith Emerson(キーボード)、元Atomic RoosterのCarl Palmer(ドラム&パーカッション)のトリオ形態で結成され、デビュー当時から音楽業界でスーパーグループと呼ばれていた存在です。当初、Greg LakeがKeith Emersonに「ムーグ・シンセサイザーをバンドのサウンドに導入したい、しなければ自分はJimi Hendrixと組む。」などという話も含め、3人とも所属していたバンドがありながらも計画は練られており、この結成前夜の動向次第では、どのようなスーパーグループが結成されていたのだろうと、想像はたえません。

バンドの音楽の特徴は、攻撃的で暴力的なハードロック系や叙情性やリリカルなバラードが織りなすジャズやロックのエッセンスを感じる全篇キーボードを基調としたクラシカルなサウンドと思います。そして、2ndアルバム「Tarkus」で本格的に導入されるシンセサイザーは、当1stアルバムでは最終曲「Lucky Man」のみでの使用に留められています。

1stアルバムとしての位置付け、および、シンセサイザーよりもハモンド・オルガンやピアノの比重の高さからも色褪せることのないクラシカル・ロックの「原石」として、輝くアルバムと思います。

楽曲について

冒頭曲1「The Barbarian(邦題:未開人)」の出だしのファズのかかったベースを聴くと、Greg Lakeが直前に在籍していたKing Crimsonの楽曲を想起してしまうのですが、その後に続くKeith Emersonによるハモンド・オルガンやCarl Palmerのドラミングを聴けば、このトリオのアグレッシブでいて、これから「開拓者」となるべく演奏を繰り広げていこうとする姿勢やサウンドスケープが見えてくるんです。

2「Take A Pebble(邦題:石をとれ)」も、弦をはじくようなピアノのフレーズが印象的なイントロ以降、King Crimsonの楽曲を感じさせてくれる楽曲です。唄メロは1stアルバム「The Court Of The King Crimson」や2ndアルバム「The Wake Of The Poseidon」で感じた抒情的でいて、ピアノはジャズ期の3rdアルバム「Lizard」を想起させてくれるんです。それらのエッセンスがEmerson, Lake & Palmerとして統一感のある素晴らしい楽曲にまとめ上げられていて、4分以降はバンドが持つ素敵な即興性を活かしたフレーズが満載です。

3「Knife Edge」は妖しいボーカリゼーションからハモンド・オルガンの演奏が強引に畳み掛けていきます。そして3分20秒前後に感傷的なフレーズが楽曲全体に1つのアクセントをつけ、曲全体に渡る攻撃性を際立たせる気がしました。

4「The Three Fates」はチャーチオルガンの音色に導かれ、その後、曲折ピアノによるインスピレーション溢れ、速弾きや隙間を活かした演奏がふんだんに聴けます。そして、後半ではパーカッシブさが加わり、楽曲を混乱へと落とし込んでいく印象を与え、2「Take A Pebble(邦題:石をとれ)」の中間部同様に聴き入ってしまいましたね。

5「Tank」はきめ細かなドラムロールではじまり、エレクトリック・ピアノのフレーズが絡んでいきます。クラシックでいうバロック調溢れる演奏が展開されますが、2分前後から始まるドラムのロールも、途中でシンバルを刻みながらドラムでうっとりとさせてくれると思うぐらい凄まじい演奏が繰り広げられます。2分程度続いた後に4分前後からはムーグと思わせるシンセのフレーズが跳ねた感覚で繰り広げられます。

個人的には、最後のGreg Lakeの唄メロが素敵なアコースティカルな6「Lucky Man」も含め、アルバム全体が「トータルアルバム」というよりも「組曲」のイメージをしてしまうんです。みなさんは、全篇を聴くことでどう感じますか?

良い意味でも悪い意味でもGreg Lakeが直前に在籍していたKing Crimsonで素晴らしいボーカリゼーションを披露していたので、その歌声や時折垣間見る攻撃性や抒情性のフレーズがちらほらKing Crimsonな展開が垣間見えます。それらのエッセンスがアクセントとなるのか、Keith EmersonのキーボードやCarl Palmerのドラミングの素晴らしさがひしひしと伝わってきました。そして、2ndアルバム「Tank」以降にもところどころに聴かれる「らしさ」のあるフレーズが既に楽曲の中に溢れており、1stアルバムにして素敵すぎる楽曲が溢れています。

[収録曲]

1.The Barbarian(邦題:未開人)
2.Take A Pebble(邦題:石をとれ)
3.Knife Edge
4.The Three Fates
5.Tank
6.Lucky Man

全篇キーボードを基調としたアルバムです。2ndアルバム「Tank」以降、さらに力強さ、華やかさ、たおやかさを増した数々のアルバムを発表していきますが、個人的にはこの1stアルバムが最も好きなアルバムです。よく評論では「原石のようなアルバム」と云われていますが、その「原石」さでも素晴らしいことに変わりはなく、最初から最後まですっきりと聴かせてくれます。所謂、「完成度の高さ」ともいえますよね。

キーボードを基調とし、2ndアルバム「Tank」以降ではない1stアルバムだからこそ感じえる当バンドの「瑞々しさ」を感じえたい方にはおすすめのアルバムです。

最少人数にしてトリオ(3人編成)

このEmerson, Lake & Palmerをはじめ、プログレッシブ・ロックではRush、ロックではPoliceなど、最少人数にして最強と云われるトリオ形態が多く、一時期、そんなトリオ形態で音と音のケミストリは少ないのではないか?と考えたことがあります。でも、そのトリオ編成では、前述の3つのトリオ編成であまりメンバーの入れ替えがなく、アルバム発表が続くことが多く、どのアルバムも質感が素晴らしいことから、やはり「トリオ最強説」をあらためて感じずにいられません。

みなさんはどう思いますか?

1st Album「Emerson, Lake & Palmer」のおすすめ曲

1曲目は最終曲6の「Lucky Man」
単純です。「この曲のようになりたい。」そんな気持ちで聴いていますから!アコースティカルでいて抒情的であり、たおやかさもあり聴いて清々しい気持ちになります。

2曲目は4曲目「The Three Fates」
前半の即興性溢れるピアノに、後半にはパーカッシブさも加わります。その音1つ1つは分解するのではなく、交錯し合い恍惚さえ感じます。2曲目の「Take A Pebble(邦題:石をとれ)」といずれを選ぶか甲乙つけがたいのですが、当楽曲の方がEmerson, Lake & Palmerらしさを感じたからです。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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