プログレおすすめ:Moraz and Bruford「Music for Piano and Drums」(1983年イギリス他)
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最終更新日:2015/12/30
1980年代, ジャズ&フュージュン, マルチナショナル Bill Bruford, Moraz and Bruford, Patrick Moraz
Moraz and Bruford -「Music for Piano and Drums」
第191回目おすすめアルバムは、スイスのミュージシャン:Patrick Morazとイギリスのミュージシャン:Bill Brufordによるデュオ:Moraz and Brufordが1983年に発表した1stアルバム「Music for Piano and Drums」をご紹介します。
Yesファンの間であれば、Patrick MorazとBill Brufordが、過去にYesのメンバーの一員としてプレイし、それぞれ名作に関与していることと思います。
まずは、当アルバムの冒頭を飾る楽曲1「Children’s Concerto」を聴いてみて下さい。
Moraz and Bruford – Children’s Concerto
いかがでしたか?
Patrick Morazによる流麗なピアノのプレイとBill Brufordの繊細にもスキルフルでテクニカルなドラミングを聴いていると、休日の午後に、カフェでリラックシながら、本を読み耳を傾けて聴いていたいと感じる、そんな情景が思い浮かんでしまうです。
個人的には、Patrick Morazが、Yesで魅せたシンセのダイナミックなプレイやラテン音楽とフュージュンのフレーズを先入観にもっていたため、異なるイメージのピアノのプレイに驚いたと同時に、Bill Brufordが第2期King Crimsonでスコットランド人:Jamie Muirとのパーカッシブなリズム・セクションが好きだったため、彷彿とさせるドラムのプレイが聴けて嬉しかったです。
それでもなお、二人が触れ合うまでの経歴に「?」を抱くんです・・・。
Patrick MorazとBill Brufordが触れ合う瞬間
二人をYesの活動を軸に振り返ってみると、Bill Brufordは1972年に発表したロックの名盤と名高い5thアルバム「Close To The Edge(邦題:危機)」を発表後、Yesを脱退していますが、いっぽうで、Patrick Morazは、1974年に発表した傑作アルバム「Relayer」にキーボード奏者として唯一参加していました。その時期に、Bill Brufordは、第2期King Crimsonで1973年に発表した「Larks’ Tongues in Aspic(邦題:太陽と戦慄)」に参加していた。
次に、当アルバム「Music for Piano and Drums」が発表された1983年を軸に振り返ってみると、Patrick Morazは、1978年から1990年まで、イギリスのプログレッシブ・ロックバンド:The Moody Bluesの一員として活動していました。いっぽうで、Bill Brufordは、1991年から1984年までに、Robert Fripp(ギター)、Tony Levin(ベース、スティック)、Adrian Belew(ギター、ボーカル)らとともに第3期King Crimsonで、アルバム「Discipline」、「Beat」、「Three of a Perfect Pair」の3枚のアルバムを発表して活動していました。
そう、当アルバムは、同時期にYesで共にプレイしたことがなく、当アルバム発表時にはそれぞれが異なるバンドに所属していたという、詳しい事情を知らぬ人であれば、「どうやって二人は出逢ったのか?」と想いをめぐらしてしまうと思うんです。
そして、ただ純粋にジャズをルーツに影響を受けた2人による生ドラムとグランド・ピアノだけのアコースティカルをメインとしたリリカルな世界が溢れたアルバムなのです。
楽曲について
2「Living Space」と3「Any Suggestions」がPatrick MorazとBill Brufordの共作であることを除き、他楽曲はすべてPatrick Morazが単独で作曲した楽曲です。
冒頭曲1「Children’s Concerto」は、前述のとおり、休日の午後に耳を傾けたいと思わせるピアノのリズミカルにも高低音を活かしたエレガントな旋律が素敵な楽曲です。
また、続くコンテンポラリーなフリージャズな2「Living Space」、4ビートに乗せてピアノもドラムも高速フレーズが炸裂する3「Any Suggestions」、ダイナミックにもタイトルを彷彿とさせるオリエンタルな4「Eastern Sundays」、エスニック系のドラムとピアノの打音のアタッキング感の強さが交錯する5「Blue Brains」、フレキシブルにリズムチェンジを繰り返す6「Symmetry」、ブラシをバックに切なげなメロディラインのピアノの旋律が印象的な7「Galatea」、2「Living Space」をよりスピーディなインタープレイで聴かせる8「Hazy」など、アヴァンギャルド寸前のジャズ系のエッセンスをバラエティ豊かに楽曲ごとに散りばめています。
[収録曲]
1. Children’s Concerto
2. Living Space
3. Any Suggestions
4. Eastern Sundays
5. Blue Brains
6. Symmetry
7. Galatea
8. Hazy
ピアノをベースとしたインストルメンタルのジャズを聴く方におすすめです。
もちろん、Yesファンや、ジャズ系の演奏が比重が高いもPatrick Morazによる流麗なピアノのプレイとBill Brufordのスキルフルでテクニカルなドラミングを愉しみたい方にもおすすめです。
また、当アルバムを聴き、2人のクリエイティビティに興味を持った方は、エレクトリックな要素の比重が高い1985年発表の2ndアルバム「Flags」を聴いてみてはいかがでしょうか。
アルバム「Music for Piano and Drums」のおすすめ曲
※アルバム1枚を通じ全インストルメンタルな楽曲ですの、おすすめ曲は控えさせていただきます。
このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。
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