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プログレおすすめ:Agusa「Tva」(2015年スウェーデン)

公開日: : 最終更新日:2015/12/29 2015年, サイケデリック, スウェーデン, フルート


Agusa -「Tva」

第144回目おすすめアルバムは、スウェーデンのサイケデリック/スペース系のバンド:Agusaが2015年7月に発表した2ndアルバム「Tva」をご紹介します。
Agusa「Tva」
スウェーデン南端に位置するマルメーで結成されたバンド:Agusaの結成は2013年に遡ります。2013年に、Tobias Pettersson(ベース)を中心に、Dag Stromkvist(ドラム)、Mikael odesjo(ギター)、Jonas Berge(オルガン)の4人が集い、夏に、数々のジャム・セッションを重ねていきます。その場所が「Agusa」という地名であり、それがバンド名の由来です。そして秋には、デビュー作である1stアルバム「Hogtid」のレコーディングに入り、2014年春に発表しています。

バンドの音楽の特徴は、1970年代の古き良きヴィンテージ系のプログレッシブ・ロックを踏襲し、アンサンブルではオルガンの利用が際立たせ、典型的なサイケデリック/スペース系溢れるサウンドです。例えば、ベルギーのHypnos69、アメリカのAstra、フィンランドのMoonwagonなどに代表されるアンサンブルを彷彿とさせます。

さらに、スウェーデンの地を特有ともいえるネイティブなサウンド、ラジカルさを醸し出すアプローチも魅せてくれます。

当2ndアルバムは、ドラムがTim Wallanderに代わり、さらに、フルート奏者:Jenny Puertasが参加しています。

フルートがアンサンブルに加わることで、本来もサイケデリック/スペースにラジカルさを感じさせながらも、よりフォーク的なエッセンスも加わり、
スウェーデンの民族的なユニークさを感じさせてくれるマイルドなサイケデリックなサウンドを感じさせてくれるアルバムではないでしょうか。

楽曲について

アルバムは、インストルメンタルによる約20分の「Ganglat fran Vintergatan」と約18分の「Kung Bores dans」の大作2曲で構成されています。

1「Ganglat fran Vintergatan」は、冒頭部から、リズムセクション(ベースとドラム)とフルートが奏でるアンサンブルには、ラジカルさやトラディッショナルさが溢れ、まさに1970年代初期のヴィンテージさ溢れるサウンドを愉しめると思います。3分前後からのオルガンのパートには中東風やインド的な展開を聴かせてくれます。ベルギーのHypnos69やアメリカのAstraがイギリスの5大プログレバンドの1つ:King Crimson的な陰鬱さや悲哀を讃えたサウンドを醸し出す一方で、トラディッショナルさもあるリズム感覚に民族的なエッセンスもあることでサイケデリック/スペース系として同様なバンドとしても異なる印象を持つかもしれません。ギターの演奏スタイルもテクニカルさを意識するよりも、アンサンブルを重視している印象すらあります。14分30秒前後から聴かれるパートでは、その前後までの民族的なエッセンスとは一線を画し、サイケデリック/スペース系の真骨頂とも云えるスペースを意識した空間処理で、モダンなサウンド・メイキングを魅せてくれます。高らかにサウンドが舞い、余韻を残すかのようにクロージングを迎えます。

前半部を楽曲全てと感じたのなら、しっぺ返しを受けるように心を高揚させてくれる。
2「Kung Bores dans」も1「Ganglat fran Vintergatan」と同様に、冒頭部から、ラジカルさやトラディッショナルさが溢れたサウンドが聴けます。どことなくノスタルジックさを感じさせてくれるオルガンが奏でるパートに耳を傾けながら、この力強さ溢れるリズムセクションに身を委ねてしまいそうになります。3分30秒前後からの浮遊さ溢れ、マーチ風のドラムが印象的に、フュージュンっぽさもあるつづれ織りのギターのフレーズやメインテーマとなるオルガンのフレーズなど、まるで、1970年代に活躍したアメリカのロックバンド:Santanaに代表されるラテン・ロックの一端を垣間見せたかのようなパッションを感じさせてくれるサウンドに腫れます。8分前後から異なるテーマを奏でるオルガンに導かれ、リズムセクションも変化し、パーカッシブなエッセンスが加わるところは、1「Ganglat fran Vintergatan」でも感じえた1stアルバムにはないバンドの新機軸ではないでしょうか。そして、10分前後の陰鬱さを讃えるようにフルートがノスタルジックさを醸し出すのもアクセントに、12分前後からは、よりタイトになったリズムセクションに、冒頭部のパートへ戻ります。フルート、オルガンがユニゾンで奏でるテーマが鳴り響き、途中からギターも加わり、三身一体となったユニゾンのプレイにはただただ圧倒され、14分30秒前後からは全体のメロディが下降ラインを奏で、ファースト・タッチへとリズムはチェンジし、いやがおうにも心は高揚していきます。その高揚感もギターのフレーズが途絶えるとともに最後を迎えます。昇り詰めて消え入るかのように楽曲は終わりを告げたと思いきや、ふとピアノが断片的に語られ、と同時に、フルートが寂しげに奏でられ、淡々と楽曲はクロージングします。

インストルメンタル2曲のみという音世界には、スウェーデンの地の民族性やラジカルさとトラディッショナルさのエッセンスを感じさせてくれます。そのうえで、プログレッシブ・ロックでもサイケデリック/スペース系を纏うサウンド・メイキングは聴き応えがあり、特に、パーカッシブさも含めたリズムセクションが必聴のアルバムと思いました。

[収録曲]

1. Ganglat fran Vintergatan
2. Kung Bores dans

1970年代のヴィンテージさを濃厚にかんじさせてくれるプログレッシブ・ロックが好きな方にはおすすめです。

ただし、ベルギーのHypnos69やアメリカのAstraがイギリスの5大プログレバンドの1つ:King Crimson的な陰鬱さや悲哀を讃えたサウンドを醸し出す一方で、当バンドが示すのは、ロック然よりも、リズム主体とした力強さが特徴です。楽曲のクリエイティビティがリズムセクションの比重も高いサウンドが聴きたい方におすすめかもしれません。

2014年に1stアルバム、そして、2015年には当2ndアルバムとして発表していることから、より3rdアルバムでは、どのように飛躍するのか楽しみなバンドですね。

アルバム「Tva」のおすすめ曲

※アルバム1枚を通じ全インストルメンタルな楽曲ですの、おすすめ曲は控えさせていただきます。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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