プログレおすすめ:Anathema「Falling Deeper」(2011年イギリス)
公開日:
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最終更新日:2015/12/29
2010年‐2013年, イギリス, オルタナティヴ, 女性ボーカル Anathema, Dave Stewart
Anathema – 「Falling Deeper」
第68回目おすすめアルバムは、イギリスのシンフォニック系のプログレッシブ・ロックバンド:Anathemaが2011年に発表した9thアルバム「Falling Deeper」をご紹介します。
このバンドはメインボーカルとなる男性のVincent Cavanagを中心とし、基本6人編成のメンバーです。
6thアルバム「A Fine Day To Exit」あたりからゴシック色が薄れ、より抒情的でたおやかなシンフォニック系のプログレッシブ・ロックへと変貌してきました。当アルバムは、ゴシック色が強いメタル系なサウンドを感じさせた頃の初期のアルバムの楽曲を中心に、26名のLondon Session Orchestraによるオーケストラを含めたセルフカバーしたアルバムです。過去にも2008年発表の「Hindsight」も同様にセルフカバーアルバムでした。その第2弾に位置付けされてはいますが、今回のアルバムでは1995年発表の2ndアルバム「The Silent Enigma」を中心とした初期の作品から選曲されていることと、前者がアコースティックなセルフカバーだったところ、オーケストラを中心としたアルバムという点で異なります。
筆者は、2012年に、次の10thアルバム「Weather Systems」ではじめてanathemaを知り、そのアルバムだけを聴き続けてきたため、初期の頃の作品が分からず、本当に新鮮な気持ちで聴けました。
その10thアルバム「Weather Systems」については、
▼アルバム「Weather Systems」のレビューは下のリンクから▼
プログレおすすめ:Anathema「Weather Systems」(2010年イギリス)
楽曲について
ピアノの伴奏からはじまる冒頭曲1「Crestfallen」は、ギターに導かれ、オーケストレーションとともに、アルバムタイトルの「Falling Deeper」と囁かれる唄メロのシークエンスが印象的な楽曲です。この冒頭曲に代表されるように、間髪入れずに2
「Sleep In Sanity」以降、ほとんどの楽曲ではボーカルよりもオーケストラをメインとしたヒーリング・ミュージックに近いスタイルになっています。ただし、オーケストラが中心でも抒情的でいて、じわじわと力強さを感じさせながらも儚さを纏ったサウンドであることに変わりはありません。
特に、躍動さ溢れるオーケストレーションやギターソロで静と動のサウンド感やミステリアスさを感じさせてくれる5「Sunset Of Age」、Anneke van Giersbergenがゲストボーカルで参加の6「Everwake」、流麗すぎる儚さの7「We The Gods」、よりゴシックさやサイケデリックさをオーケストラで表現したかのようでいて、水音が微かに聴こえそうにクロージングする9「Alone」など、アルバム後半にいくにつれて、ヒーリング・ミュージックと感じるだけでない、「透明」「浮遊感」「流麗」「抒情」という言葉が似つかわしいanathemaによる素敵なサウンドスケープが垣間見えてきます。
アルバムジャケットにうつる雲と水の漂う波紋。水の中から空を見上げた構図のように、光が届く範囲での透明な水中で身を漂わせながら聴いている心地になるアルバムですね。
[収録曲]
1. Crestfallen
2. Sleep In Sanity
3. Kingdom
4. They Die
5. Sunset Of Age
6. Everwake
7. We The Gods
8. I Made A Promesse
9. Alone
プログレッシブ・ロックへと変貌する他ゴシックを聴く人や、プログレッシブ・ロックに対し、シンフォニック系だけれども抒情的で儚さや力強さが好きな方に、Anathemaはおすすめです。当アルバムは、オーケストラによる流麗なサウンドスケープをみせてくれて、人によってはヒーリングミュージックのようでいて、人によっては幻想さのあるクリエイティブさを感じる。オーケストラをメインとしたプログレッシブなサウンドを聴く方に特におすすめです。
アルバム「Falling Deeper」のおすすめ曲
1曲目は「Sunset Of Age」
静と動をオーケストラが躍動的に鋭利に彩っていて、最後まで息尽きせぬ展開に聴き入ってしまいます。
2曲目は「Alone」
初期のゴシックさを纏った流麗なプログレッシブなサウンドか、プログレッシブな演奏にゴシックさやサイケデリックさがアクセントとなったサウンドか、この楽曲を聴くたびに考えてしまいます。オーケストラの表現力が素敵も過ぎます。
このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。
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