プログレッシブ・ロックのおすすめアルバム、楽曲、関連話など

   

プログレおすすめ:White Willow「Future Hopes」(2017年ノルウェー)


White Willow -「Future Hopes」

第298回目おすすめアルバムは、ノルウェーのWhite Willowが2017年3月31日に発表した7thアルバム「Future Hopes」をご紹介します。
White Willow「Future Hopes」
当アルバム「Future Hopes」は、Jacob Holm-Lupo(ギター、シンセ、マンドリン、ベース、Fairlight sampler、ボコーダ―)の中心としたソロ・プロジェクトではじまり、2011年発表の6thアルバム「Terminal Twilight」から6年振りのアルバムです。

ソロ・プロジェクトと云う括りからもアルバム発表毎に徐々に参加するミュージシャンに変化が生じてますが、当アルバムもたぶんに含まれません。今作では、Jacob Holm-Lupo以外に、スウェーデンの著名なプログレッシブ・ロックバンド:AnglagardのMattias Olsson(ドラム、パーカッション)をはじめとし、Ellen Andrea Wang(ベース)、Ketil Vestrum Einarsen(フルート、EWI)、Lars Fredrik Frøislie(ハモンド、エレクトリック・ピアノ、シンセ、メロトロン、ピアノ)らメンバーは、前作アルバム「Terminal Twilight」から変わりはないものの、女性ボーカルがSylvia (Erichsen) SkjellestadからVenke Knutsonへとチェンジしてます。1998年に発表した2ndアルバム「Ex Tenebris」以降、2006年発表の5thアルバム「Signal To Noise」を除き、楽曲のフロント部分で一役を担っていたSylviaの存在に、戸惑いを感じるかもしれません。

ところで、Jacob Holm-Lupoは、2016年発表の5thアルバム「Signal To Noise」以降、当プロジェクトとは別に、The Opium Cartelによる活動も行ってます。2017年10月現在までに発表した2枚のアルバム(2009年発表の1stアルバム「Night Blooms」と2013年発表の2ndアルバム「Arder」)の存在は
、このボーカルのメンバー・チェンジや、当アルバムのサウンドを紐解く鍵となりうるかもしれませんね。

・・・・たとえば、The Opium Cartelにボーカルで参加していたNo-ManのTim Bownessが前作アルバム「Terminal Twilight」で一部の楽曲(Kansas Regrets)にクレジットされていて・・・・2ndアルバム「Arder」に参加していたVenke Knutsonが、White Willowの2015年発表のシングル楽曲「Animal Magnetism」でボーカルを担当し、いよいよ本格的にアルバム・サイドとしてボーカルを・・・・。

White Willowは、各アルバム発売時期に於いて何度かターニングポイントを迎えてますが、名作アルバム「Ex Tenebris」と、その次作となる3rdアルバム「Sacarament」以降、ゴシック系のエッセンスが強まりますが、徐々にポップな唄メロのメロディラインやプログラミングが多用されたサウンド・メイキングの比重が高まってます。

・・・Yesの数々の名盤で手掛けたRoger Deanによるカバー・アートワーク・・・

・・・007映画でも著名なJohn Barryがサウンドトラックを手掛け、ハリウッド映画史上最も特筆すべき女優:Katharine Hepburn(キャサリン・ヘプバーン)が主演の1975年アメリカ映画「廃墟の恋(原題:Love Among the Ruins)」を想起させるコンセプト・・・

など、話題性もありますが、1980年代のニューロマンチック・ムーブメントを想起させるドリーミーさなどThe Opium Cartelでの活動も還元された印象もあり、Venke Knutsonの穏やかな歌唱に、初期White Willowが持つ淡く幻想さあるシンフォニック系をベースにしたアルバムとして、落ち着き愉しめる1枚といえます。

楽曲について

ダークさとミステリアスさな様相で迫るシンセをバックに冒頭曲1「Future Hopes」は幕を上げます。e-bowによるサスティーンを効かせたギター、トランペットの旋律、クラシカルな鍵盤のフレーズなど特徴あるアンサンブルに、White Willowの典型的な唄メロのメロディラインにVenke Knutsonによる穏やかなボーカリゼーションが被されば、薄暗くも一輪の灯が淡くも差し込むかのようなサウンドスケープを感じてしまいます。

淡い色彩は、さらに、2「Silver and Gold」では、楽曲中盤では北欧の寒々とした地を想起させる耽美的なパートを交えつつも、アコースティカルなアンサンブルがメインとなることで、1「Future Hopes」以上にVenke Knutsonのボーカリゼーションを際立たせ、抒情さ溢れるプログレ・フォーク系が聴けます。

約11分にも及ぶ大曲3「In Dim Days」では、ハモンドやエレクトリック・ピアノが醸し出すヴィンテージ系のサウンドをバックに、ゲストで迎えたHedvig Mollestadによるリード・ギターがフューチャーされてます。もちろんVenke Knutsonによる唄メロのヴァースがありつつも、エレクトロ・サウンドがブレンドしたことで、アンニュイさに寂寥さが溢れるサウンド・メイキングは、初期White Willowの薄暗さやゴシック系のエッセンスとは異なり、個々が重ねるプロジェクトの経験やスキルフルさが活かされモダンな質感を感じてしまいます。クロージング直前のKetil Einarsenによるフルートが奏でる旋律には、それまでのパートと異なり生々しき寂寥さを感じてしまい、そのままクロージングを迎えます。

ノイズによるサウンド・オブストラクトとシンセをバックにゲストで迎えたOle Øvstedalによるギターのプレイが聴ける小品4「Where There Was Sea There Is Abyss」を経て、Hedvig Mollestadによるリード・ギターがフューチャーされた約18分弱にも及ぶ最終曲「A Sacred View」へと雪崩込みます。

ダークさとミステリアスさな様相が醸し出すは1「Future Hopes」に近しいアンサンブルで幕を上げ、各テーマ部で随所にベースラインが巧みにリンクしつつ、ギターとシンセが、メロトロンなど多種多様な音色をバックに、ソロを重ねていくシンフォニック系のアンサンブルが堪能出来ます。14分30秒前後からのギター・ソロで楽曲がクロージングを迎えるまでに、3分前後からのパーカッシブなリズムをバックにVenke Knutsonが唄メロのヴァース、6分前後からの躍動さあるリズムをバックにシンセ・ソロ、7分前後からのギター・ソロ、8分25秒前後からのハモンドによる旋律とシンセ・ソロ、9分30秒前後からオブリガードに加わるギター・ソロ、そして、10分前後からのシンセによるクワイアとともに、各パートをリンクさせていたベースラインが際立つパート、10分40秒前後からの最初のヴァースに近しいアンサンブルでシンセ・ソロ、そして、12分30秒前後からVenke Knutsonの唄メロへのヴァースへと、様々なアプローチが繰り広げられています。

アルバム全篇、2016年発表の5thアルバム「Signal To Noise」前後までのゴシック系、メタル系、スクリーム系などのエッセンスはほぼ無く、The Opium Cartelでの活動を知らない従来のファンにとっては、全体的な印象がアンビエント風なサウンドにも感じるかもしれません。しかしながら、The Opium Cartelでの活動で得たケミストリーとVenke Knutsoの歌唱が際立たせる唄メロのメロディラインとのアンサンブルは、懐かしき初期White Willowの穏やかな部分から醸し出す抒情さ、哀愁さ、ミスティックさをベースに構築していった、芯のあるシンフォニック系の素敵な仕上がりと思います。

なお、ボーナストラックとして、ドイツのハードロックバンド:Scorpionsの1980年発表の楽曲「Animal Magnetism」をカバーした2015年発表のシングル6「Animal Magnetism」と、「Damnation Valley」が収録されてます。6「Animal Magnetism」はエレクトロニカでタイトなリズムと、楽曲のクロージングまで見せ場を作るDavid Krakauerによるクラリネットのフリーキーな旋律が混沌さ溢れた素敵な仕上がりです。後者は、ピアノの独奏に中盤以降加わるシンセの音色がアンニュイさを醸し出すインストルメンタルの楽曲です。

[収録曲]

1. Future Hopes
2. Silver and Gold
3. In Dim Days
4. Where There Was Sea There Is Abyss
5. A Sacred View
————————-
bonus
6. Animal Magnetism
7. Damnation Valley

女性ボーカル、幻想さ、夢想さ、抒情さ、プログレ・フォーク系、シンフォニック系をキーワードにプログレッシブ・ロックが好きな方におすすめです。

当アルバムを聴き、White Willowを好きになった方は、1995年発表の1stアルバム「Ignis Fatuus(邦題:鬼火)」から順々に聴くことをおすすめします。または、メインとなる女性ボーカルの印象に楽曲の印象も捉えがちと考えれば、Venke Knutsonの歌唱が聴けるJacob Holm-Lupoの別プロジェクト:The Opium Cartelが2013年発表の2ndアルバム「Arder」もおすすめです。

アルバム「Future Hopes」のおすすめ曲

1曲目は、冒頭曲1「Future Hopes」
初期White Willowからアルバムを重ねるごとに徐々にサウンド・アプローチを変えていき、聴き手に与える世界観が、The Opium Cartelでボーカルとして参加したVenke Knutsonでの歌唱でどのように表現しうるのかと思いながら聴いていると、懐かしさとThe Opium Cartelの両者を思い浮かべていました。

2曲目は、2「Silver and Gold」
最も初期White Willowに近しいサウンド・アプローチに、はじめてWhite Willowを聴く方にもおすすめといえます。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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