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プログレおすすめ:Rush「Permanent Waves」(1980年カナダ)

公開日: : 最終更新日:2015/12/30 1980年代, カナダ, プログレ・ハード


Rush -「Permanent Waves」

第231回目おすすめアルバムは、カナダのプログレ・ハード系のプログレッシブ・ロックバンド:Rushが1980年に発表した7thアルバム「Permanent Waves」をご紹介します。

Rush「Permanent Waves」

コンパクトさ

デビュー当初の影響を受けていたLed Zepplelin風ハードロック系のアプローチから、1978年に発表した前作6thアルバム「Hemispheres」まではプログレッシブ・ロックの大作組曲へシフトをしていましたが、楽曲をコンパクトな方向へと転換を図ります。

Rusnは、デビュー後のアメリカ・ツアーから、Geddy Lee(ボーカル、ベース、シンセ)、Alex Lifeson(ギター)、Neil Peart(ドラム、パーカッション)によるたった3人のメンバーで、メンバーを変えることなく、常に独創的な音楽性を提示してきました。

短い楽曲でシングルを制作すると云うレーベルの意向に合わせたコンパクトさは、名曲「The Spirit Of Radio」を生み出し、1980年に、イギリスのチャートで13位、アメリカのビルボード・チャートで51位、そのライブ・バージョンがメイン・ストリーム・ロックチャートで27位に各ランキングされます。また、楽曲「The Spirt Of Radio」を収録した当アルバム「Permanent Waves」はビルボードチャートではじめて10位以内にランキングされ、アルバムの売上数値的にも成功をおさえたのです。

以降のアルバムで、シンセサイザーの利用比重も上がってきますが、当アルバムは、耳馴染みやすくて、技巧的に駆使された複雑なリズムチェンジによるシングル楽曲とともに、

Rush史上、コンパクトで聴きやすさと技巧に溢れた音楽が確立したアルバムとして、傑作にあげられます。

個人的にも、プログレッシブ・ロックの大作組曲志向以降で、Rushらしさのある変拍子やリズムチェンジを交えたテクニカルなアンサンブルさは健在のままに、聴きやすいだけでなく、明るめの楽曲が多く収録されており、名曲「The Spirit Of Radio」も含めて、はじめてRushを聴く方におすすめしたい、大好きなアルバムの1枚です。

楽曲について

冒頭曲1[The Spirit Of Radio」は、ずばり名曲です。Alex Lifesonによるミニマルなギターのフレーズとギターのリフ一閃による衝撃なオープニングが鮮やかにも脳裏に焼き付けられ、約5分に詰め込まれた技巧とリズムチェンジを駆使した展開に心躍動せずにいらない素晴らしい楽曲です。

リズムチェンジとオープニングの印象的なギターのフレーズによる1分25秒前後と2分40秒前後のミドルの展開は序の口と云わんばかりに、3分30秒前後のリズムチェンジを巧みに盛り込んだブレイクを皮切りに、3分50秒前後のレゲエのリズム、4分前後の観客の歓声SE、4分10秒前後のレゲエのリズム、4分20秒前後のワウを効かせたギター・ソロなど、3分30秒前後のピアノの連打など、後半部の展開は圧巻です。

5分以内に技巧をコンパクトにおさめて、なおかつポップさ溢れる名曲に心躍る。

2「Freewill」は、ギターとベースのユニゾンに、随所にシンセサイザーの旋律が入る楽曲です。サビ部のポップさ溢れたメロディラインも印象的ですが、2分50秒前後のGeddy Leeのゴリゴリとしたベース・ソロに、途中からAlex Lifesonによるギター・ソロが炸裂する4分前後までの展開は、1[The Spirit Of Radio」のイントロのギターをいちど聴いた時の衝撃に負けず劣らず素晴らしい仕上がりです。

3「Jacob’s Ladder」は、マーチ風のリズムに、ギターのアルペジオで幕を上げる約7分半の楽曲です。前作6thアルバム「Hemispheres」までの大作組曲寄りの楽曲で、ギターとシンセサイザーがリードし、楽曲は重厚さを醸し出し、3分40秒前後からシンセサイザーのソロ、4分55秒前後からは徐々にギターがアルペジオの旋律を響かせ、リズムチェンジを巧みに盛り込んだアンサンブルを重ねていき、6分35秒前後にNeil Peartが高らかにドラムをたたくとともに、ヴァースへと戻りクロージングを迎えます。クロージング直前にイントロ部のギターのフレーズに、楽曲がスパイラル構造なのかと印象的ですね。

4「Entre Nous」は、随所に技巧的なフレーズを盛り込みつつ、スタッカートの有無やクリーントーンのストロークなどギターの様々なアプローチが印象的な楽曲です。メロディラインを際立たせるギターのアプローチに、3分5秒前後かはシンセサイザーのソロがふわっと拡がりを魅せて展開していきます。

5「Different Strings」は、Rushファンになれば以降のツアーやプログレッシブ・ロックの後発バンドに影響を与えた佳曲です。荒涼とし、ほのかに憂いを帯びたメロディラインに、ギター、ベース、ピアノによるフレーズも刹那さ溢れるメロディックなフレーズを盛り込み、いったん楽曲としてヴァースは終始します。そして、3分前後からのハーモクス、シンコペーション、サスティーン、スラー、スタッカートなどの基本的なギターの技巧でインストルメンタル部を彩るさまは、当スタジオ・テイクだけでは終わらない序章ともいうべき展開が聴けます・・・。

最終曲6「Natural Sceience」は、3つの異なるパート(「Ⅰ:Tide Pools」、「Ⅱ:Hyperspace」、「Ⅲ:Permanet Waves」)から成る約9分に及ぶ大作です。

カモメ?の鳴き声に水のせせらぎのSEで幕を上げ、ギターのクリーントーンのストロークのみによるヴァースと、The PoliceのAndy Summersを想起させるギターのフレーズによるヴァースの2分19秒前後までの「Ⅰ:Tide Pools」、シンセサイザーの短めのモチーフからメタル系のリフとエフェクトかかったコーラスなどヘビーなアプローチを交え、ファーストタッチで展開する5分7秒前後までの「Ⅱ:Hyperspace」、リズムカルなヴァースに、ギターの轟音を含めたプレイ、そして、冒頭部の水のせせらぎから大洪水のイメージで迫るSEのクロージングまでの「Ⅲ:Permanet Waves」まで、叙情さとほどよい重厚さがコンパクトに纏められてます。

アルバム全篇、約7分の3「Jacob’s Ladder」、約9分の6「Natural Sceience」があっても、いずれの楽曲もコンパクトさを基軸に、技巧やリズムチェンジを巧みに盛り込み、ポップさを含む聴きやすさが溢れた楽曲で占められています。

[収録曲]

1. The Spirit Of Radio
2. Freewill(邦題:自由意志)
3. Jacob’s Ladder(邦題:ヤコブの椅子)
4. Entre Nous
5. Different Strings
6. Natural Sceience
-Ⅰ:Tide Pools
-Ⅱ:Hyperspace
-Ⅲ:Permanet Waves

聴きやすさある楽曲を聴きたい方、5大プログレバンドのうち、Yesの1971年発表の3rdアルバム「The Yes Album」における組曲的な展開や、4thアルバム「Fragile」も含めたスキルフルやテクニカルさが好きな方におすすめです。

また、技巧やリズムチェンジによる楽曲の展開は、少しずつプログレッシブ・ロックのエッセンスを踏襲しつつも薄まりつつもありますが、Rushでは、ヒットチャートにおけるロック・ファンの反応をみれば、コンパクトさを好意に受け入れられ、さらにヒットとなる次作1981年発表の8thアルバム「Moving Pictures」に比肩しうる最高傑作アルバムです。当アルバムを聴き、Rushを好きになった方は、シンセサイザーの利用比重が上がりますが、次作1981年発表の8thアルバム「Moving Pictures」以降の1980年代のアルバムに触れてみてはいかがでしょうか。

また、当アルバムで、3「Jacob’s Ladder」や6「Natural Sceience」での組曲的な楽曲、5「Different Strings」の仄かにメロディックさが気になった方は、名曲「Closer To The Heart」を含む前々作の1977年発表の5thアルバム「A Farewell To Kings」と前作の1978年発表の6thアルバム「Hemispheres」もおすすめです。

アルバム「Permanent Waves」のおすすめ曲

1曲目は、冒頭曲1の「The Spirit Of Radio」
5大プログレバンドの1つ:Gensisの楽曲「Counting Out Time」(アルバム「The Lamb Lies Down on Broadway」収録)とともに、人生ではじめて「プログレッシブ・ロック」を奏でるバンドが作成した楽曲と知りながら、聴いた楽曲として思い出深いからです。1970年代の某コンポピレーション・アルバムに収録されていたことを憶えています。楽曲「Counting Out Time」と比べて、より技巧が盛り込まれた展開には、はじめて聴いた時に驚きを隠せなかったと同時に、以降、技巧を駆使したバンドの楽曲を好きになるきっかけともなった楽曲です。

2曲目は、の「Different Strings」
叙情さとライブでの展開、その一端を伺えます。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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