プログレッシブ・ロックのおすすめアルバム、楽曲、関連話など

   

プログレおすすめ:WARA「El Inca」(1973年ボリビア)

公開日: : 最終更新日:2016/09/01 1970年代, プログレ・ハード, ボリビア


WARA -「El Inca」

第210回目おすすめアルバムは、ボリビアのプログレッシブ・ロックバンド:WARAが、1973年にスタジオ・ライブで制作したアルバム「El Inca」をご紹介します。
WARA「El Inca」
WARAは、1971年にボリビアの地で、Carlos Daza(ギター)がリーダーに、Jorge Cronembold(ドラム)、Omar Leon(ベース)、Pedro Sanjines(キーボード、オルガン)、Nathaniel Gonzalez(ボーカル)で結成したバンドです。

その音楽の特徴には、バンド結成期に、たとえば、同時期に活躍したDeep PurpleやUriah Heepなどプログレッシブ・ハードロック系やアートロック系が隆盛期の影響を感じさせてくれますし、ボリビア、アルゼンチン、パラグアイ、チリなどラテンアメリカ諸国の先住民系の民族音楽とスペイン系植民がもたらした特有の音楽が融合したと云うフォルクローレの音楽に辿りつくでしょう。ただし、2ndアルバム「Maya」以降は、ボーカルのNathaniel Gonzalezが脱退してしまい、新たなボーカルの個性からかフォルクローレにイタリア・カンタトゥーレのような印象を与えてしまいます。

当1stアルバム「El Inca」では、同国ボリビアの作家:Alcides Arguedasが1919年に執筆した、容赦なく弾圧されるインディオを描いた小説「Raza de Bronce(青銅の種族)」をもとにした歌詞の世界観に、管弦楽団のストリングスの使用に1970年代に活躍したイタリアのプログレッシブ・バンド:New Trollsのアンサンブルを彷彿とさせながらも、

ボリビア特有のフォルクローレとプログレッシブ・ハードロック系のエッセンスがほどよく融合したサウンドが聴けるアルバムです。

個人的には、イギリスのプログレッシブ・ハードロックが好きなため、リード・ボーカルにUriah Heepの初代ボーカル:David Byron、コーラスにDeep Purpleの初代ボーカル:Ian Gillanを想起してしまったことが、1stアルバムを紹介したと思ったきっかけでした。

楽曲について

重苦しいリズムセクションで幕を上げる冒頭曲1「El Inca」は、Uriah Heepを彷彿とさせるコーラスが一閃し、続く管弦楽器とシンバルにヴァースへと導かれます。まるでUriha Heepの各種名盤(1972年発表の4thアルバム「Demons And Wizards(邦題:悪魔と魔法使い)」や5thアルバム「The Magicians’s Birthday(魔の饗宴)」)で魅せるスローテンポの楽曲を彷彿とさせるヴィブラードも豊かに高音を効かせ張り上げるボーカリゼーションがあまりにも強烈です。

また、3分20秒前後からのヴァイオリンは華麗なソロに、ヴァースに入ればオブリガード気味に旋律を奏で、5分30秒前後からの脈打つようにミニマルなベースのフレーズ、6分30秒前後からのオルガンがアグレッシブな旋律など、バンド特有のサウンド・メイキングやアンサンブルが聴けます。

2「Realidad」は、高らかなドラムにオルガンのリフが重なり、いやがおうにもブリティッシュ・ハードロックのミドルテンポを想起させる展開な楽曲です。ヴァースでは一定のシークエンスで奏でるギターとオルガンのアンサンブル、重苦しいトーンでささくれだつギターのフレーズやソロを皮切りに、中盤でのオルガンとのユニゾン・プレイ、ボーカルと楽器の掛け合いなど、聴き手の期待を裏切らせないエッセンスを感じえます。

3「Cancion Para Una Nina Triste」は、叙情さよりも耽美さに溢れた唄メロのメロディラインが際立つ楽曲です。やはり、Uriha Heepを想起させるコーラスワークもあるヴァースが聴かれ、1分40秒前後からのオルガンをバックにフルートやトランペットの旋律には、アートロック系やサイケデリック系を含めた世界観を感じさせてくれますね。

バンド名をタイトルに冠した4「Wara」は、ブルース系のビート感たっぷりなハードロック調で幕を上げる楽曲です。2分40秒前後からはフォルクローレ系のヴァースへと場面が変わるものの、3分30秒前後からは、オルガンのリフやメロディラインにはUriah Heepを想起させてくれたり、Deep Purple初期のアートロック系のエッセンスも垣間見えます。7分以降、徐々にテンポアップして様には、いやがおうにも心を高揚させてくれますね。それでもなお、特筆なのは、終始、ヴァースからインストルメンタルのパートでも縦横無尽に弾き倒すかのようなファンキーさ感じるギターのプレイでしょう。

電子音やオルガンが交じり合い幕を上げるマジカルさ溢れる印象のある最終曲5「Kenko」は、タイトル「kenko」を連呼させるボーカルに、そのボーカルのメロディラインをなぞるギターのフレーズとボーカリストの咆哮により徐々に楽曲は盛り上がっていきます。明らかに趣きの異なるボーカルゼーションによるフォルクローレ系を感じさせるヴァースの唄メロのメロディラインにも、他楽曲以上に弾きまくるギター・ソロと、時折垣間魅せる独特のコーラスワークにてクロージングを迎えます。

アルバム全篇、ブリティッシュ・ハードロックにて、Uriah HeepやDeep Purpleを彷彿とさせるプログレッシブ・ハードロック系をベースとしていることがひしひしと伝わり、ボーカリストのボーカリゼーションやコーラスワーク、オルガンのリフには、もろにUriah Heepを想起してしまうぐらいに、Uriah Heepを好きな方の心を惹きつけるのではないかと思います。さらにNew Trollsを想起させる管弦楽器のアンサンブルがあっても、ボリビアの地特有の民族性を活かした重苦しい中にも独特のリズムに溢れているため、何度も聴き返すたびに、当時のメンバーが実現させたかったアクテビティを強く感じるアルバムです。

[収録曲]

1. El Inca
2. Realidad
3. Cancion Para Una Nina Triste
4. Wara
5. Kenko

純粋にフォルクローレを聴いてみたいと云うプログレッシブ・ロックファンの方におすすめです。

また、プログレッシブ・ロックの中でも、プログレッシブ・ハードロックのなかでも、イギリスのUriah Heepを好きな方や、管弦楽器によるクラシカルさを活かしたイタリアのNew Trollsが好きな方にもおすすめです。

当アルバムを聴き、waraを好きになった方は、2ndアルバム「MAYA」以降、最終曲5「Kenko」の唄メロのメロディラインやボーカルが変わってしまうために、フォルクローレ系の楽曲のイメージが強くなり、プログレッシブ系のエッセンスが薄れていきますが、さらに、バンドのリーダーであるCarlos Dazaが一時離脱してしまう引き金ともなってしまう当アルバムのリメイクアルバムである2001年発表の9thアルバム「Wasitat Jirisinasawa」もおすすめです。個人的には、当アルバムの世界観を活かしたうえで、クラシカルにもシンフォニック系のサウンドへ幅を拡げた好盤と思います。

「El Inca」のおすすめ曲

1曲目は冒頭曲「El Inca」
レビュー中にはUriah HeepやNew Trollsばかりを引き合いにだしてしまいますが、当楽曲では、ボリビアの地の特有のリズム感やクラシカルさにも管弦楽器のパートなどに、最もバンドらしさが溢れていると感じます。

2曲目は4曲目「Wara」
リズムチェンジやフォルクローレのエッセンスなど、アルバムの楽曲中では、最もプログレッシブ・ロックな展開が愉しめます。

このレビューを読み、ご興味を持たれましたら聴いてみて下さいね。ぜひぜひ。

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